第22回 頭皮が硬くアトピーで抜け毛が気になります。

質問
 抜け毛は頭全体で、抜け毛を見ると毛根にニキビの固まった皮脂のようなものが付着しています。
眉毛も同じような感じで結構抜けます。アトピーであることも気になります。
頭皮も硬いのですが、硬いと良くないというのはどういう事なのでしょうか? アドバイス宜しくお願いします。
(岡山県 H.S男 17歳)

回答
 頭皮の硬さを調べるのは、血行がどのような状態かを調べるための一つの方法で、一般に血行が悪いとその部分から脱毛してくることが多いため、脱毛状況を予測するために硬さを調べます。
 一般に硬いと血行が悪く、弾力がある場合は血行が良くなっています。
 血行を調べるには、20〜25度C位の部屋で、しばらく安静にした状態の後に測定します。
 温度差が少ない場合は脱毛の心配も少なく、頭皮も弾力のある人が多いですが、脱毛部や薄くなりそうな部位は温度が低く、正常な部位との温度差が大きくなっています。
 通常硬いと言っているのは、頭皮を触ったときに頭皮が薄く、頭蓋骨が感じられ、パンと張っている状態を言います。頭皮硬度計で計って数値が大きい(硬い)部位は皮膚温度が低く、硬度数値が小さい部位は温度は高くなっています。
 頭皮硬度計が無い場合は、いろいろな人に触らせてもらい、自分と比較して硬いかどうか較べてみるとよいでしょう。 弾力を伴っていれば血行も良いのですが、頭皮が薄く、良く動くけれどブヨブヨした状態の場合は血行が悪く、痩せ型で内臓機能が低下している場合が多いようです。
 現在の脱毛の状態についてですが、アトピーであることや、抜け毛が頭全体であること、眉毛も同じような感じで結構抜けることなどから、何らかのアレルギーが起こり、その結果脱毛していることが考えられます。 全理連の毛髪相談室にもアトピーが治ってから喘息や花粉症になったり、全頭脱毛症になったり、瀰漫性の脱毛が起こっている人たちからの相談が多くなっています。
 もし 眉毛の外側3分の1が抜けているようであれば甲状腺の働きについて病院でチェックしてみることをお勧めします。
 抜け毛にニキビの固まった皮脂のようなものが付着しているということから、皮脂が細菌により分解されたり、酸化して乾いて粉のようになったり、皮膚の表面に住む細菌やカビが増え、その毒素などとともに毛穴を詰まらせ、皮脂が表面に出なくて荒れ肌になったり、皮脂の質によってはベタベタしたものになり、さらにこうした分解物などによって皮膚が刺激を受けて炎症を起こして 「脂漏性皮膚炎」に発展し、さらに「脂漏性脱毛症」になっていることも 考えられます。
 まず頭皮の状態を正常に戻すことをしなければなりません。そうなるとまずは皮膚科での診断と治療を受けることをお勧めします。
 脱毛の専門外来で診察を受ければ、原因は比較的はっきりしてくると思います。
 髪の毛は皮膚が変化してできたものであることから、頭皮の状態が良くなれば、自然に抜け毛の状態なども回復されていくことと思います。
 シャンプーは弱酸性の低刺激のもので、指先を頭皮にぴったりとつけて、頭皮をゆり動かすようなマッサージシャンプーや、頭皮をもむようにして皮脂の排泄をはかり、十分にすすぎ流した後に保湿性のある育毛剤を塗布し、十分にマッサージをしておくことをお勧めします。
(全理連中央講師 板羽 忠徳)

参考資料
■ 甲状腺機能障害による脱毛
甲状腺機能が低下した場合 、頭部全体にわたって毛の艶がなくなり、パサパサした乾燥毛になり、頭髪のびまん性脱毛がしばしば認められ、後に体毛も脱毛します。眉毛の外側3分の1が脱毛するのが特徴で、腋毛は約半数が薄くなります。
 逆に 甲状腺機能が亢進すると 、約半数にびまん性の休止期毛の脱毛が生じ、可逆性で円形脱毛や尋常性白斑を合併することがあります。

■ アレルギー
アレルギー(Allergie)という言葉はギリシャ語のallos(変化した)とergon(作用)に由来し「変化した反応性」を意味し、人体に侵入するウィルスや細菌など、様々な異物に対し防御物を作るようになります。最初の侵入は許しても、二度目からの侵入を防ぐ能力がついてくるのです。 これを免疫反応と言い、侵入してくる異物のことを抗原、それに対する防御する物を抗体と言います。
 抗体は抗原を中和したり、破壊し、最終的に抗原は体から排除され、健康が保たれています。
 免疫反応は人が生きていくのに必要で有益な反応ですが、この免疫反応が「変化した反応性」を起こすと人の体を傷つけることがあり、体にとって不利益になる免疫反応のことをアレルギー反応といいます。
 アレルギーはその発症形態や関与物質の違いから、4つに分類され、T、U、V型のアレルギーは抗体が関与するアレルギーで、W型はT細胞(リンパ球の一つで血液中やリンパ液の中にあり、胸腺に依存して分化する細胞)が関与するアレルギーです。
 抗体の本体はタンパク質で免疫グロブリン(Ig)と呼ばれ、分子構造の違いからG、M、A、E、Dの5つに分けられています。
 アレルギーに関与するのはIgEやIgGで、4つのタイプの
アレルギーではT型の気管支喘息、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、花粉症などがよく知られています。
 一般にアトピーとはアレルギー症状のなかで、遺伝的素質が原因でアレルギー反応を起こしやすい体質のことをいい、このような症状をもっている人をアトピー体質といいます。
  生活環境や生活状況、食生活などの変化により、アレルギー症状を持つ人が急速に増加し、いまでは日本人の約3割の人が何らかのアレルギーに関係があると言われています。
 皮膚に侵入した刺激物は、表皮や真皮の免疫システムの監視役であるランゲルハンス細胞(マクロファージ)やリンパ球に異物としてキャッチされ、アレルギーの素質がある場合は、体を護るはずの免疫反応が、逆に体を攻撃するアレルギー反応を起こすようになってしまいます。
  円形脱毛症は、免疫系が自己と非自己の区別がつかなくなり、自分の体の一部を攻撃することにより引き起こされることから、自己免疫疾患と考えられています が、最近は男性型脱毛症も含めた脱毛症が、基本的には同じようなメカニズムで発生しているのではないかと考えられるようになってきました。

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