第25回 カブレについて教えて下さい。

質問
 化粧品や育毛剤を使ったり、毛染めやパーマをかけた後に、負けた、カブレたなどと言いますが、カブレはどうして起こるのでしょうか。カブレと湿疹の違いについて教えて下さい。使用量を減らせば予防することができますか?
( 埼玉県 K・H男 二三歳 )

回答
  皮膚は弱酸性の皮脂膜によって防御され、さらに角質層全体がバリアの機能を果たし、内部器官を保護していますが、強い刺激を受けたり抵抗力が低下するとバランスがくずれ、変調をきたして炎症が起こるようになってきます。
 化粧品、化学物質、その他の異物などの刺激因子が直接皮膚に触れたことにより起こる症状を「接触性皮膚炎」と呼び、一般にはカブレと言い、発症機序により 「一次刺激性接触性皮膚炎」と「アレルギー性接触性皮膚炎」とに分けられます。
 「一次刺激性接触性皮膚炎」の因子となるものを接触毒と言い、 作用の強い酸やアルカリなどの化学物質や、毒性のある植物、昆虫、肌質に合わない化粧品類、強い紫外線など、そのもの自体が強い刺激を与える物質 であったり、多量や高濃度であったり、接触時間が長かったりすると、皮膚の抵抗力が外的刺激に負け、誰の皮膚にも接触部位にカブレが起こるようになってきます。
 化粧品によるカブレは個人差が大きく、 化粧品中の香料や色素、油脂類、界面活性剤などが刺激因子になる可能性があります が、内容成分中のある特定の物質(表示指定成分など)にのみ過敏に反応する場合は「アレルギー反応」が起こったもので、「アレルギー性接触性皮膚炎」あるいは「抗原抗体反応性接触性皮膚炎」と言い、原因物質である抗原に対してこれを排除しようとする抗体を持っている人にのみ起こるもので、個人の体質が関係し、24〜48時間位で発疹や腫脹などの症状が接触部位やその他の部位にも現れてきます。
 一般に「毛染めに負けてカブレた」と言う場合は、染毛剤に含まれているパラフェニレンジアミンなどの酸化染料に感作し、これに対して抗体ができた人の場合は、ごく微量であっても皮膚が過敏に防御反応を示し、カブレを起こしたもので、アレルギー性接触性皮膚炎ということになります。アレルギー性の場合はパラフェニレンジアミンなどの量や濃度はあまり関係が無く、質的反応ということになります。
一般に「パーマ液に負けてカブレた」という場合は、パーマ液に含まれているチオグリコール酸塩やアルカリ剤などが髪の毛のシスチン結合に作用してカールなどをつくりますが、皮膚につくとこれらが刺激物質となり、皮膚の蛋白質を傷め、過剰な刺激となってカブレを起こします。この場合は量が少なかったり、濃度が薄い場合には起こらないこともありますので量的反応ということになります。
(全理連中央講師 板羽忠徳)

参考資料
●カブレの経過
 外からの過剰な刺激物質が作用すると、防衛のために表皮の神経終末器が感知し、血流が活発になり、皮膚表面の毛細血管が充血し、血流量が増し、 赤くなって見え 、皮膚温が上昇するためほてった感じになり、これらにともなってリンパ液も増え、しだいに 皮膚表面は腫れ 、外的刺激因子の進入が多い部位には血管内からの血漿成分やリンパ液が集中して細胞間隙にたまり、 水疱ができたり 、白血球により刺激因子は貪食されたり破壊されるため膿となって排出されるようになります。このため皮膚表面は一部が破壊されることもありますが、やがて再生作用により徐々に回復するようになります。
●カブレとと湿疹の違い
@カブレは外から皮膚に作用したものが分かりますが、湿疹はあまりはっきりしません。
@カブレは接触した部位の皮膚に一致して病変が起こり、境界がはっきりしていますが、湿疹ははっきりしません。慢性のカブレでは皮膚が厚く、硬くなるとともに表面が粗くなってきます。
B カブレは一般に炎症が激しく、赤み、水疱、ほてり感があります が、湿疹はこれらの症状があまり無く、むしろカユミが強くなります。
カブレの予防と治療
  原因物質に接触しないようにすることが大切です が、 予防のためにはパッチテストにより原因物質を確かめること が必要です。
 治療は専門医の診察が必要です。副腎皮質ステロイド剤の外用が行われ、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬の内服や、重傷の場合は副腎皮質ステロイド薬の内服が行われます。

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