ミナト３７１０　髪様倶楽部

質問
　甲状腺機能低下症という診断を受け、ホルモン補充を１年以上続けています。体調や採血の数値は正常になってますが、髪は乾燥して非常に脆く、パサパサしていて藁のようで、白い点ができて切れて脱落していきます。対策方法を教えてください。
（福井県　Ｋ・Ｆ　３５歳）

回答
　まずは 医師による甲状腺機能の改善が第一です ので治療は今後も続けて下さい。
　髪が乾燥して脆くなっているということは、肌も乾燥肌になっていることと思います。 健康な肌を維持するために、肌の弾力を保ち、水分を閉じこめる働きを持つ、ガンマリノレン酸などの必須脂肪酸の摂取をお勧めします。 これらのサプリメントとしては亜麻仁油やリノレン酸配合体、オメガ３（ｎ−３）脂肪酸、イブニング・プリムローズ・オイル（ＥＰＯ＝メマツヨイグサ油＝月見草オイル）などがあります。さらに 髪の発育を良くするために亜鉛、ビタミンＢ群、アミノ酸なども一緒に摂ると効果的 です。
　さらに肌の保水力を補うためには、角質層の保湿成分であるＮＭＦ（天然保湿因子）の構成要素であるアミノ酸、ピロリドンカルボン酸、尿素や、真皮層の保湿のためにヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類が配合されたものや、表皮細胞の水分保持に関わりのある細胞間脂質の類似物質である、セラミド、グルコシルセラミド、スフィンゴ脂質、コレステロール、リノール酸などの配合されたもので、お手入れをすることをお勧めします。（内服用のものを髪や肌につけてもベタつくだけであまり効果的ではありません。）
　荒れた髪のケア法ですが、体調が良くなってくると髪の毛の方も良くなってくるのですが、髪の毛は根元側から健康な状態になってきても、毛先側が荒れていると、乾燥状態や断毛が少しずつ根元側に進行してしまいます。そのため全体的にはなかなか健康な髪の毛になってくれません。
　これは枝毛ができた髪の毛をトリートメントだけしていてもよくならないのと同じで、 枝毛や白い点（結節性裂毛）が出来ている部分から根元側に向かって最低５ｃｍ位カットしないと、いつまでたっても全体的には良くならないのです。
オイルシャンプーやプロティーンシャンプーなどで、髪の毛をこすらないように洗い、リンスやトリートメントはアミノ酸誘導体やコラーゲンＰＰＴ、カチオン化セルロースなどの配合された物を使い、洗髪後は髪をこすらないで叩くような感じでタオルドライをし、マイナスイオンブラシでブラッシングをした後、 洗い流さないタイプのトリートメント剤をつけおくとよいです。
　思い切って短くしたりボウズにし、荒れて傷んでいる部分をカットし、オイル系の整髪料をつけながら髪を伸ばしていくと効果的です。
（板羽忠徳　全理連中央講師）

参考資料
●甲状腺機能低下症にともなう脱毛
甲状腺ホルモンの分泌が通常より低下している状態で、視床下部、下垂体の疾患や、甲状腺自体の障害、甲状腺の摘出やヨード不足などによる場合もありますが、最も多いのは橋本病で、自己免疫の異常による病気です。リンパ球が甲状腺の中に入り込み、自己免疫性の炎症を起こし、甲状腺組織を障害します。
　機能が低下すると体重は増加傾向を示し、進行すると寒がりになり、疲れやすい、便秘がち、居眠りが多くなる、ぼんやりなどの症状とともに 白髪が増加したり、眉毛の外側３分の１や頭髪も薄くなります。
●亜鉛とアミノ酸
　亜鉛は体内の代謝活動に関わる酵素が活性化するのに不可欠なミネラルで、約３００種もの酵素に関与し、蛋白質の合成、免疫システム、インシュリンをはじめとしたホルモンの分泌などを助けたり、前立腺の働きを正常化し、老化やガンを引き起こすとされる活性酸素を抑制する酵素を活性化します。　
　髪の毛の基本成分であるケラチンは、複数のアミノ酸から成り立っていることから、 アミノ酸を含むタンパク質を摂ることが大切ですが、亜鉛が不足するとタンパク質分解酵素はうまく働かず、タンパク質の分解は行われなくなってしまいます。 また、２４種あるアミノ酸のうち、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの必須アミノ酸は、どれかが少ないと他のすべての必須アミノ酸の働きはそれに応じて効果的に働かなくなってしまうため、食物またはサプリメントで常に摂取しなければなりません。