第27回 毛髪から水銀汚染の程度が分かる?
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質問 先日ニュース番組の特集で大型魚類の水銀汚染について警告が出され、妊婦は胎児への影響を懸念してマグロを食べるのを控えるように注意していました。このような有害ミネラルの害について教えて下さい。毛髪からも調べられると聞いたのですが・・・ (茨城県 K.K子 28歳)
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回答 現在の日本の食生活ではおよそ70%が精製や加工されたものであると言われ、インスタント食品やレトルト食品などに頼ることが多くなってきました。野菜や穀類、魚介類などの自然の食材にもともと含まれていたミネラル類は失われ、
日本人の多くが潜在的なミネラル不足やアンバランスに陥っています。
一方で私たちの体に必要のない水銀や鉛、アルミニウムなどの有害ミネラル(金属)が徐々に蓄積され、知らず知らずのうちに初期の中毒症状にかかったり、健康障害や悪影響を受けている人も多くなっています。 これらのミネラルの状態を調べることができるのがICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)による「毛髪ミネラル分析」で、0.2gの毛髪で100兆分の1まで測定することが可能になり、健康チェックに役立てています。 生物が生命を維持するしくみは細胞が十分に機能しているか否かによりますが、その活動のためには酵素が関係し、酵素の働きにより新しい細胞や組織を作ったり、代謝を行ったり、活性酸素の除去などを行っていますが、この大切な
酵素の働きを有害ミネラルが妨害する
ため、体は十分に機能することができなくなってしまいます。 水銀=水俣病のように、有害ミネラルは環境汚染物質で公害病のように考えられ、それらを排出する施設が無ければ汚染の心配はないと思うかも知れませんが、私たち日本人は魚をよく食べることから、汚染された海で育った魚介類を食べると、次第に水銀が蓄積されるようになってきます。 水銀は亜鉛を含む酵素と結びつきやすく、その酵素の働きを妨げてしまいます。亜鉛は体内の代謝や活動に関わる酵素が活性化するのに不可欠なミネラルで、約300種類もの酵素に関与し、タンパク質の合成、免疫システム、インシュリンをはじめとしたホルモンの分泌などを助けたり、老化やガンの原因として考えられている活性酸素を抑制する酵素を活性化しています。水銀によって亜鉛を含む酵素の働きが妨害されると、
味覚異常、動脈硬化、前立腺肥大、脱毛などが起こったり
、傷の治りや爪の伸びが遅くなったり、免疫力が低下してウイルスなどに感染しやすくなったり、神経に障害が起こりやすくなってしまいます。 また水銀によってセレニウムやアミノ酸、ビタミンCなどが消耗され、健康レベルが低下したり、セレニウムの不足からガンや心臓病、動脈硬化、免疫力の低下、性機能の衰えなどが起こりやすくなってきます。 (全理連中央講師 板羽忠徳)
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参考資料 ●毛髪ミネラル分析 毛髪は毎日摂取している食品が消化吸収され、血液に取り込まれ、複雑な化学反応の結果成長しています。血液や尿などよりも10倍〜100倍も早く異常が現れることから、食生活と健康の状態を判断することや病気の診断に利用できます。後頭部の新生毛2、3cmを0.2g採取しICP−MSによりppq(10の−15乗)まで測定。量と対比率をグラフ化して報告されます。 ●有害(金属)ミネラル除去法 有害ミネラルが体内に蓄積していると、生命活動に欠かせない必須ミネラルが排出され、ミネラルバランスが悪くなってしまいます。また、硫黄、亜鉛、セレニウムは有害ミネラルの排出を助けます。個々には分析結果によりますが、一般的には必須ミネラルを多く含む豆類、ごま、わかめ(海藻類)、野菜、魚介類、シイタケ(キノコ類)、芋をうまく取り入れることが重要で、これらの食品の頭文字をとって「マゴワヤサシイ」を摂ることが大切です。
水銀を排泄する働きがあるのはセレニウム
で、これらを含むネギ、ホタテ、リンゴ酢、いせえび、はまぐり、かに、かき、たらなどを摂ることをお勧めします。
鉛やアルミニウムや砒素
は脳や骨に貯まりやすく、記憶力障害、アルツハイマー、うつ、白血病、腎不全、突発性暴力行為などを引き起こす危険があります。これらの吸収を妨げ、排泄を促すには、マグネシウムを含む大豆食品、あずき、ひじき、いんげんまめ、アーモンド、ピーナッツなどが効果的です。
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