第34回 子供の髪を染めても大丈夫ですか?
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質問 お尋ね致します。実は幼稚園に行っている子供がいるのですが、来月友人の結婚式があるので、その時に子供の髪を染めてつれて行こうと思っています。私が使っている染毛剤を使用して染めても大丈夫なものでしょうか?また、子供の皮膚についても教えて下さい。 (千葉県 E・M枝 32歳)
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回答 子供への影響の前に、染毛剤について先に知っておかなければならないことがあります。 染毛剤は色々あり、主に用いられる
酸化染毛剤は医薬部外品
に分類され、作用が緩和とは言え一般化粧品より有効性の反面、
経口毒性や経皮毒性が問題で、ジアミン系化合物が含まれている
ことから、単に刺激による一過性の接触性皮膚炎だけでなく、アレルギー性の接触性皮膚炎を起こすことがあり、いわゆる「かぶれ」が起こることがあります。専門的には抗原抗体反応で1回や2回の染毛でかぶれることは少ないですが、アスファルトやコールタールなどの影響や、解熱のためにアスピリンを服用していたりすると、抗体が体内に蓄積されていて、初めて染めた場合でもかぶれてしまうことがあります。 他にも浸透剤や色素安定剤には合成界面活性剤が使われ、アレルギーの原因として疑われています。
アレルギー反応は微量でも起こるため、メーカーや銘柄を変えても起こる恐れがあります。
かぶれ以外にも目への刺激や、毛髪の損傷が起こることにも注意しなければなりません。 染色体異常テストで陽性を示したことから突然変異が起こる恐れや、発ガン性や催奇形性の可能性の疑いが話題になったことがあり、再生不良性貧血の発生要因の可能性が報告されたこともあります。他に廃液が環境に与える影響も問題です。
トラブル予防のためには、パッチテストをして安全を確認したり、できるだけ皮膚に付けないように注意して塗布しなければなりません。
ただし流す時は不可抗力で皮膚にも付きますので、地肌は十分に洗い流しておくことが大切です。 子供の髪を染めた場合の影響ですが、子供用染毛剤というのは無く、化学的な面からみれば子供も大人も同じに染まりますが、最近の子供達はアトピーやアレルギーを持っている子供達が多くなっていることや、大人の皮膚より弱いですのでよりトラブル発生の危険性が起こります。 染める必要性はどうかと言いまと、ほとんど必要無しですが、美容的な面からみると、少子化傾向により親がペットのように子供のうちからブランドものを着せたり、子供を可愛く見せたいため、髪を染めたりパーマをかけたり、整髪料をつけて楽しむという人達もいますので、私としてはプロがやるのであれば反対はできませんが、トラブルやダメージを最小限にするように、注意して染めなければなりません。 (全理連中央講師 板羽忠徳)
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参考資料 ◎子供の皮膚の特徴
皮膚表面には汗口と毛孔が沢山あり、これらの数は生まれてから一生変わることがありません。
成長とともに皮膚の面積は増えてもこれらの穴の数は変わらないのです。ということは、子供の皮膚には汗口や毛孔が過密に存在していることになり、これらに関わる皮膚のトラブルが子供には起こりやすいことを示しています。一方、皮膚の厚さは子供の頃は薄く、成長とともに厚くなっていきます。
低年齢の時ほど皮膚が薄いため、皮膚疾患も多く発生しやすくなります。
また皮膚の表面は毛孔から分泌される皮脂で覆われていますが、子供は非常に少ないのです。生後2〜3ヵ月頃までは、母体からのホルモンの影響などで皮脂腺の機能は活発ですが、それ以降の幼少時期になると機能は低下し、皮膚はカサカサになり乾燥しやすくなっています。すると日常のわずかな刺激にも敏感に反応しやすくなっています。 大人の皮膚に比べて子供の皮膚は、保湿成分(アミノ酸、セラミドなど)が少なくなっていることや、代謝が高いため汗をかきやすく、皮膚のpHが上昇しやすく、皮膚のバリヤーが壊れやすくなっていますので、かなりデリケートな肌になっていますので、大人以上に注意していないとトラブルが発生しやすくなってしまいます。 ◎染毛剤の発ガン性について エームズ博士がサルモネラ菌に行った実験がありますが、現在アメリカでは第2次大戦後、染毛人口は20倍以上に増えているのに、女性の乳ガンや皮膚ガンはむしろ逓減しているので原因にならないとの反論もあります。
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