ミナト３７１０　髪様倶楽部

質問
保育園に子供を預かってもらっています。先日迎えに行った時に、保母さんに「頭にシラミが付いているかも知れないので、☆☆ちゃんの頭を調べてみて下さい」と言われました。どのように対処したらよいでしょうか？　シラミについて教えて下さい。
（神奈川県　Ｆ・Ｋ子　２９歳）

回答
　「シラミ」については今頃の季節になるとよく質問が寄せられます。私のサロンでも先日小学１年生の女の子をカットしている時に「シラミの卵」を発見し、頭をチェックしたら成虫が５匹発見できました。さらに一緒に来店していた姉妹の中学生の髪の中にも卵が発見され、対応に大変でした。
　シラミは翅がない吸血性の昆虫で、世界中では３００種類もいると言われていますが、 宿主特異性が強く、人に寄生するシラミは人だけしか吸血せず、「頭ジラミ」、「衣ジラミ」、「毛ジラミ」の三種類がいます。
　「頭ジラミ」は主として頭部に住み、頭皮から血液を吸って生活をし、髪の根元に産卵します。成虫は２８〜３８日間生き、その間に約３００個の卵を産み。卵は１週間から１０日で幼虫になり、８〜１０日で成虫になります。
　戦後の一時期シラミは日本中に蔓延していましたが、ＤＤＴやＢＨＣなどの殺虫剤によって姿を消していました。そのためか、若い世代はシラミに対する知識がほとんどなく、スキャナーで卵や成虫を見せると、いままで無頓着だった人も慌てたり、オロオロしたり、怖がったりなど様々です。
　帽子、ヘアーブラシ、櫛、タオル、寝具などの共用や頭部の接触などから感染しますので、これらの共用や接触は避けなければなりません。先日の女の子は、学校で頭を痒がっている子とまみれて遊んでいたことが感染ルートでした。頭に白いものがついていても、それがシラミの卵とは分からずに触れあっている内に成虫が移り、さらに一緒に寝ていたお姉さんに感染させたものでした。
　今頃の季節は プールの脱衣場などから感染が広がり集団発生をすることがあります。
　保育園や学校など集団の場合、全員でチェックし、一斉に駆除しなければなりません。
　対 策としては、現状では市販の「スミスリン・パウダー」（ピレスロイド系殺虫剤・住友）などが唯一の有効薬剤 で、これの使用方法としては、
１回７ｇ程度を被髪頭部に均等に散布し、１時間ほど放置した後シャンプーをします。
　これは卵には効果がないため幼虫になるまでの間は絶え間ない殺虫が必要ですので、一日１回、二日間隔で４〜５回繰り返し、卵はスキぐしで除去したり、一つ一つつぶさなければなりません。
　その他薬剤を使いたくない場合は、髪の毛を剃り落としたり、ヘアアイロンで卵を挟んで熱し殺したり、卵のついた部分の毛を切って焼却します。
（全理連中央講師　板羽忠徳）

参考資料
◎衣ジラミ（着物ジラミ）
　宿主の皮膚に寄生するものではなく、衣服の縫い目や下着の肌側などに見つけることができ、衣服などから主にうつり、発疹チフスや回帰熱などを媒介します。
　もし寄生していたら、下着はよく煮沸し、その他の衣服や寝具などは蒸気消毒またはアイロンをかける他、スミスリンパウダーを１�uあたり１５ｇを散布して駆除します。１日１回、２日おきに４〜５回繰り返します。
◎　毛ジラミ
　体長約１mmの蟹に似た形をしたシラミで英語では"Crab Lice"と呼ばれています。親から子供にうつる以外は大部分が性行為によりますが、当人の寝具や衣服からうつることはないようです。（頭ジラミは毛ジラミより細長く体長３mmほどで区別がつきます。）
　主に陰毛や肛門周囲の毛につき、毛深い人の場合には、眉毛や腋毛など全身にも寄生することがあります。
　うつってから２〜３週間で症状が現れ、陰毛の部分が猛烈に痒くなります。成虫は陰毛の間をゆっくり動き周ることもありますが、皮膚に食い込むようにへばりついています。 薄い褐色がかって見え、一見、カサブタのように見えます。卵は肉眼でも虫眼鏡でも見ることができますが、殻のない状態で産み落とされ、陰毛の根元に白っぽくて立体的にしっかりと付着しており、普通に洗ったくらいでは落とせません。成虫の寿命は約１カ月で、雌は毎日約８個の卵を産みます。
　治療は頭ジラミに準じますが、剃毛が最も手っ取り早い治療法ですが、セクシャルパートナーも一緒に治療しなければなりません。