第41回 カサついた肌は何が足りないのでしょうか?
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質問 石けんで洗顔をするとカサついたり額が白っぽく粉がふいたようになり、突っ張って荒れやすくなってしまうので困ります。どうしてこのようになるのでしょうか?これからどの様に肌の手入れをしておけば良いでしょう。 (群馬県 S・M人 21歳)
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回答 皮膚の美しさを現す言葉に「う、な、は、た、け、つ、せ」という言葉があります。
「う」は潤いがある。「な」は滑らかである。「は」は張りがある。「た」は弾力がある。「け」は血色がよい。「つ」はつやがある。「せ」は清潔である。
この七つの要素が素肌美の条件で、皮膚の衰えは外見的にはこれらの逆の状態で現れてきます。 汗と脂と垢(皮膚表面の角質層)の三つの「あ」が「う、な」である潤いと滑らかさを保っているのですが、角質層の水分量が10%以下になると、肌はカサカサになり、潤いがなくなり、柔軟性は失われてしまいます。 皮膚はその水分量が減少することに対して次のようないろいろな防御機能を持ち、正常な状態を維持しようというメカニズムが働いています。 @汗腺からの水分と皮脂腺からの脂分、表皮ケラチノサイトからつくられた表皮性脂質がミックスして皮脂膜(脂肪膜)をつくり、肌の表面を覆って水分の蒸発を防ぎ、肌の潤いを保っています。 A皮膚の角質細胞の中にもアミノ酸類、ピロリドンカルボン酸、乳酸ナトリウム、尿素など約二十種類もの物質からなるNMFと呼ばれる天然の保湿因子があり、これらは吸湿性がきわめて高く、しかも一度とらえた水分をなかなか離さないという性質を持ち、肌の水分を調整して潤いを保っています。 B角質細胞と角質細胞の間にはインターセルラーリピッドという細胞間脂質が層状構造になって角質細胞同士の隙間を埋め、互いにしっかりと結びつけ、さらに何層かの細胞間脂質の間に水分を挟み込んで潤いを保っています。細胞間脂質の主成分であるセラミドはスフィンゴ脂質と呼ばれこのメカニズムに大きな役割を果たしています。 これらの
3つの働きのいずれかに支障が起こると、肌はみずみずしさが無くなり、カサついた肌になってしまいます。
洗顔後や顔剃り後には皮脂膜が取り除かれてしまい、そのままにしておくと乾燥しやすくなって荒れやすくなってきます。特に冬の間は気温の低下により汗や皮脂の分泌が減ってくることと、空気の乾燥や暖房器具などにより、皮膚の水分量が少なくなり、さらに寒さから交感神経が経緊し、皮膚表面の血流量が減り、内分泌作用も低下し、皮膚の代謝機能が衰え、皮膚生理機能が減退しやすくなっています。
アミノ酸、ヒアルロン酸、コラーゲン、セラミドなどが配合された保湿系のクリームなどを塗っておくことが必要になります。
(全理連中央講師 板羽忠徳)
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参考資料 ●
乾燥にはまず水分補給を
顔についた汚れや化粧品などを落とすには、石けんによる洗顔が基本ですが、肌が荒れて乾燥するようになってくるのは、石けんの香料や着色料、ブラシ洗顔による擦り過ぎなどによる場合が少なくありません。 乾性肌になってくると角質層が荒れ、化学物質などが皮膚の中に侵入しやすくなり、かぶれやアレルギーなどのトラブルが起こりやすくなってきます。
大部分の石けんはアルカリ性で、良くゆすいでも落ちにくいため、肌に残ったアルカリを中和してやるために弱酸性の化粧水をつけてから、普通の化粧水の六〜七倍の水分保持力を持っているヒアルロン酸やコラーゲンなどが配合されているモイスチャーローションをつけ、その後にセラミド配合の乳液やクリームなどで油分を補って乾燥を防ぐようにすることが大切です。
これからの季節は、春の暖かさから身体内部に増量していた血液が徐々に皮膚血管系に戻るようになってくることと、同時に交換神経もしだいに緊張がゆるみ、脳下垂体ホルモンもしだいに活性化し、新陳代謝も活発になり、皮膚の乾燥も次第に改善されるようになってきますが、気温の上昇とともに花粉症や皮膚のアレルギーやトラブルが多発するようになったり、春の太陽光線による日焼けは意外に強く、色素沈着も徐々に進みやすくなりますので、花粉を避ける工夫やUVケアが必要になります。 さらに「
皮膚は内蔵の鏡
」といわれるように胃腸を健康に保つとともに、蛋白質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く摂取することも大切です、
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