ミナト３７１０　髪様倶楽部

質問
９歳の息子の前頭部に小さなハゲを見つけたのが１〜２カ月前で、そこには産毛が生えてきました。皮膚科では｢自分で抜いているのでは？」と言われました。別の所にもできてきたのですが、どうすれば良いでしょうか。
（島根県 Ｋ・Ｔ枝　女性）

回答
実際に症状を診てみないとはっきりしませんが、二通りが考えられます。
　新しい脱毛部ができたということから「 円形脱毛症 」が発生したことが考えられます。
　アトピー、アレルギー、喘息、花粉症、肩こりがないか？爪に小さな白い点が発生していたり、針でつついたような小さな凹みが無いかをチェックしてみて下さい。さらに脱毛部は窪んでいるような感じがしたり、湿っているような感じがしていないか？また、脱毛部の周りを軽く引っ張ってみて抜ける毛が無いか？さらに抜け毛を虫眼鏡などで拡大して調べてみて下さい。毛根部側が細くなっていたり、毛根が付いていなかったり、萎縮していたり、途中で切れている毛が無いかなどもチェックしてみて下さい。
　もし、 以上のような事がいくつかあるような場合は「円形脱毛症」が考えられます。
　この場合は自己免疫疾患と考えられていますので、免疫抑制剤などの投与を受けることや、血行を良くするために育毛剤を使い頭部マッサージと肩こりを解消するようにマッサージをします。
　円形脱毛症にかかっている人は食事のなかで亜鉛が不足している人が多いですので、亜鉛の含まれている食品をなるべく摂るようにします。
　もう一つは、皮膚科で言われたように自分で自分の髪を引き抜いてしまうクセの「 トリコチロマニー（抜毛狂） 」かも知れません。
　この場合は、心理的に欲求不満や独りにされたくなく、親の気を自分に向けさせ、自分に感心を持ってもらいたいなど、精神的な事が多く、自分では自分の髪を抜いているという意識はほとんどありませんし、引き抜いた時の小さな痛みがむしろ快感につながるというような人もいます。
　 一般に前髪や利き腕側の頭部の髪を抜くことが多く、脱毛が起きている側の手の指を調べると、指タコのように硬くなっていることが多いです。
　抜くことを止めれば次第に回復してきますので、精神面の解消とともに独りになる時は手袋をさせるか、指絆創膏などで親指と人差し指を巻いておき、引き抜きにくくすることで、抜かないようにクセづけしていくようにします。
　「円形脱毛症」の場合はツルッとしていて、しばらくは無毛で、数ヶ月後に毛先の尖った産毛が生えて来ますし、「トリコチロマニー」の場合は脱毛部に短い毛が残っていたり、途中で切れている毛や、尖端が尖った新毛が見つかります。１カ月もすると１�pくらい伸びてきます。
（全理連名誉講師　板羽忠徳）

参考資料
●爪甲点状白斑
　円形脱毛症の人に多く現れる爪の小さな白い点のことで、正式には「爪甲点状白斑」と言いますが、一般には「星」とか、「爪花」と呼んでいます。
　爪甲が作られる時に空気が入り込んだからだとか、爪母に対する小さな外傷や、爪甲の尖端に強い力が加わったり、爪の根元を強く打ったことが原因で、その一、二カ月後に白斑が現れるなどと言われていますが、毛髪ミネラル分析などの研究によると、亜鉛の欠乏により異常な角質が作られていることがわかり、 円形脱毛症にかかっている人は亜鉛が不足している傾向が強くなっています。 亜鉛を多く摂るようにすれば白斑は次第に消えていきます。
●亜鉛の働き
　亜鉛を必須成分として細胞や組織の代謝に欠かせない酵素は２００種類以上あり、体内ではＤＮＡやタンパク質の合成に働きかけたり、免疫機能に関わりをもったり、味覚、臭覚を正常に保ったり、鉛、水銀などの毒性を弱めたり、ビタミンＣとともにコラーゲンの合成に関わったり、ビタミンＡの代謝にも関わりを持っています。
●亜鉛を多く含む食品
　食品添加物の「ポリリン酸」や「フィチン酸」を多くとったり、牛乳を多く飲み過ぎているような場合は亜鉛を排出しやすく、亜鉛の欠乏が起こることがあります。
亜鉛を多く含む食品としては、生牡蠣、つるむらさき、しょうが、牛挽き肉、牛レバー、干しえんどう、ブラジルナッツ、くるみ、そば、ヘーゼルナッツ、グリーンピース、小エビ、はまぐりなどがあります。