第43回 ヘナ染めの後、インディゴで染めたいのですが?
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質問 インディゴの説明書には、粉を溶いたら酸化が進む前にすぐに塗って40分以内に流すようにとあります。酸化ってサビの様なものだと思うと、そんなものを髪や頭皮に塗っても大丈夫なものでしょうか? (千葉県 M・M枝 24歳)
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回答 「ヘナ」は、地中海沿岸や中東やインドなどに原生するミソハギ科のローソニア(和名:指甲花)という植物の葉を乾燥させて粉末にしたもので、葉に含まれるローソン(2−ヒドロキシ−1・4−ナフトキノン)が毛髪中のケラチンと反応してオレンジ色や赤系の色がつきます。 産地の気候風土による品質の違いや、髪の状態にもよりますが、
初めてのヘナ染めでは、白髪にオレンジが薄くにしか入りません。
紅茶や緑茶やコーヒーなどで溶かすと良いと言われますが、これはこれらに含まれるタンニンなどを利用するためで、ヘナの発色を良くするためではありません。 純粋のヘナは、ブラックヘナ(酸化染料のジアミン系を混ぜたもの)や通常の過酸化水素水を使う酸化染毛剤に比べればアレルギーやかぶれなどの心配はほとんどありませんが、植物アレルギーを持っている人はパッチテストをしてから行う方がよいです。(
注:ECに有害説有り
) オレンジ色に染めてから、インディゴで染めて暗い茶褐色に近づけるというのは、色の三原色などの補色の関係を応用した染め方で、暗い色に仕上げる時にはよく行われています。 インディゴはブルージーンズを染める時に使われているもので、鮮やかな青い色に染まります。 マメ科の植物で学名はインディゴフェレチンクトリアという植物で、日本ではインド藍と呼ばれ、古くから藍染めの原料になっています。 葉に含まれるインディカンという成分が水を加える事により酵素の働きで加水分解され、インドキシルという成分に変わり、酸化されてインディゴという青い色素を持った成分になります。 開花前の葉は青味が強く、花が咲き始めると緑味が強く発色する傾向があり、染め方やどの時期の葉かによって微妙に発色する色が変わります。 酸化を心配されているようですが、時間の経過で上記のように酸化され発色してくるのを利用するためで、過酸化水素水のように強烈に酸化させて発色させているわけではありません。 時間を制限しているのは空気に触れる時間によって発色が微妙に違ってくるためで、お湯に溶かして30分くらいで、インディゴが特有の藍色に変色し始め、長く置くと濃くなり過ぎるからです。 水に含まれる酸素や空気により酸化し次第に藍色になっていくということで、
髪の毛にサビのようなものが付くというものではありません。
もしこの程度でも害があるなら私たちは空気を吸うことができなくなってしまいます。 (全理連名誉講師 板羽忠徳)
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参考資料 ●三原色と補色について 光の場合は、黄みの赤(R)・緑(G)・紫みの青(B)を言い、混合すると光の量がそのまま加算されるため明度が上がり鮮やかになるため加法混色と言い、三原色を等分に混ぜると白色光になります。 染料の場合はシアン(緑みの青)マゼンタ(赤紫)イエロー(黄)を言い、混合すると反射する光の量が減算されて明度が下がってくすむため減法混色と言い、三原色すべてを混ぜると暗灰色〜黒に近づきます。 補色とは、2色を混色することにより無彩色になる色同士を言う場合(物理補色)と、ある色を暫く見つめた後、白い紙などに目を転じた場合に残像として現れる色を言う場合(心理補色)がありますが、色相環の中でお互いに向かい合う色同士のことを言い、この補色同士を混ぜ合わせると、お互いの色の性質を打ち消し合い、色料では灰色〜黒に近い無彩色になりますが、ヘアカラーの場合は暗いブラウンになります。 ●ヘナの成分ローソンの有害性について 欧州連合(EU)の公衆衛生のホームページを見ていくと、「第16回化粧品と食料品以外の製品についての科学的な委員会(SCCNFP)が2001年3月13日の消費者に向けた意見によると、
ヘナの成分であるローソン(Lawsone)に明らかに変異原生があり、染色体異常を引き起こす
ことから、髪の毛を染めるための非酸化染料としての使用に相応しくないという意見を分類2A(利用可能なデータは、この物質が健康被害を構成するという結論を支持する)に位置づけた。」とありました。詳しくは下記を。 http://europa.eu.int/comm/food/fs/sc/sccp/out139_en.pdf
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