第49回 白髪が徐々に黒くなる海外のクリームは安全??
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質問 塗るだけで根元から徐々に黒くなるという海外のクリームを友人から勧められました。パンフレットを見ると効果的なようなのですが、安全性などについてどうなのでしょうか? (東京都 Y.K 38歳)
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回答 これらの白髪染めクリーム製品については以前からその内容成分と販売方法が問題視されていました。 パンフレット等には「白髪染めではありません」とか、「染毛剤ではありません」と記載されていますが、使用すると徐々に白髪が黒く染まるなどの染毛効果に関する表示があることから、永久染毛剤のように酸化染料と酸化剤による染毛剤ではありませんが、カラーリンスなどの半永久染毛剤に属する染毛料と考えられます。 「剤」とつくのは医薬部外品扱いで、「料」とつくのは化粧品扱いですが、内容成分の
「酢酸鉛」は医薬品の成分であり、化粧品には配合することは認められていない
のですが、「波動エネルギーにより体質改善におすすします」いうように医薬品的に書かれていたり、「毛母細胞に働きかける」というように医薬部外品のようにも書いてあったり、「安全無害のヘアクリーム整髪料です」と化粧品のようにも書かれていますので、この製品は非常に中途半端な存在であるとも言えます。 また、医薬部外品としての個別の承認を受けていませんので、国内では化粧品または医薬部外品として広告宣伝をしたり流通することはできないのですが、輸入代行以外にインターネットを通じて広告・販売されていたり、一部システム販売や直接販売などでも流通しているようです。 問題になっているのが国内では化粧品に配合がが認可されていない「酢酸鉛」で、「赤い発疹が出た」「かゆみが生じた」などの危害事例や安全性に関する相談が国民生活センターに寄せられていたことから、酢酸鉛の成分表示があり、国内で購入可能なクリーム状及びリキッド状の製品5銘柄の酢酸塩と鉛について同センターが調べた結果、0.27〜0.43%と全ての製品に酢酸鉛が含有されていることが分かり、酢酸鉛は人体へのさまざまな影響が報告されていることから、成分表示に酢酸鉛が記載されている白髪染めクリーム等は購入しないほうがよいとして、10月6日消費者に購入を控えるよう呼びかけを行い、その後新聞等でも「個人輸入したものは薬事法の規制を受けておらず、安全性が確保されていない」として、「危険!酢酸鉛入り白髪染め」と題して消費者に購入しないように呼びかけています。 厚生労働省は、都道府県を通じて、ホームページなどで販売・広告をしていた輸入代行業者など数社を薬事法違反の疑いで指導し、今後も監視を徹底していくとしています。
(全理連名誉講師 板羽忠徳)
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参考資料 酢酸鉛(英語名Lead Acetate)の害 酢酸鉛の人体への悪影響としては、神経系の障害、腎機能障害、生殖機能障害などが報告されています。欧州連合(EU)では、生殖毒性物質として「ヒトに対して発生毒性を引き起こすことが知られる物質」に分類され、発癌性も指摘されています。 1965年、世界保健機構(WHO)の付属機関として、癌の国際共同研究に助言することを目的に発足したIARCは、酢酸鉛を含む無機鉛化合物の発癌リスクを「ヒトに対して恐らく発癌性があるグループ」に分類しています。(なお、EUでは天然ハーブ白髪染めのヘナについてもシリーズNo43にも書いたように、ヘナの成分であるローソンに明らかに変異原生があり、染色体異常を引き起こすことから、髪を染めるための非酸化染料としての使用に相応しくないという意見を発表しています。) 各国の酢酸鉛に対する対応 オーストラリアでは注意書きなどを記載することを前提に酢酸塩の化粧品への使用を許可しているようです。 アメリカでは頭髪着色用化粧品としてのみ鉛含有量が0.6%を超えなければ添加が認められています。 欧州連合(EU)では化粧品成分としての使用を禁止しています。 日本では薬事法により化粧品への使用を禁止しているほか、医薬部外品として輸入販売する場合にも許可を得なければなりません。また、個人輸入した製品を他人に反復継続して譲渡する行為は、たとえ無償であっても、薬事法上の許可なくこれを行うことは薬事法に違反するとしています。
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