第53回 ベタつき、バサつき、フケ、痒みの対処法は?

質問
石けんで洗っているのですが、洗う前は頭皮はベタついていて、洗うと髪はバサつきます。脱脂力が強過ぎるのでしょうか。皮脂を取ると皮脂は多くなるのでしょうか?痒みもフケも多くなりましたが・・・。
(群馬県 T.K男 43歳)


回答
髪の毛に含まれている脂質は1〜8%(普通は3.5%位)で、しなやかさや艶を保っていますが、皮脂腺の働きが活発な場合は、髪の毛表面に皮脂が付着し、すぐにベタついた感じになってしまいます。
付着した皮脂腺由来の皮脂はシャンプーをすることにより取り除くことができますが、シャンプー剤の種類や髪の毛の損傷度合いによっては、髪の毛に含まれているCMC脂質(蛋白質結合脂肪酸・セラミド、コレステロール)などの脂質も同時に失うことがあります。
昔の石油系のシャンプー剤は脱脂力が強く、皮脂も脂質も取り除いてしまうため、パサパサになってしまうようなものがありました。
石けんによる洗髪は、水中に存在するカルシウムやマグネシウムと石けんが反応し、洗髪後水に不溶性の石けんカス(金属石けん)ができ、毛髪や毛穴に残留するようになり、これが毛髪の艶を悪くしたり、痒みのもとをつくることがあります。
また石けんはアルカリ性のため毛髪が膨潤してキューティクルが開いた状態になり、このような髪どうしがこすれ合うため、傷つきやすくなったり、髪の毛のタンパク成分である間充物質がキューティクルの隙間から少しずつ溶かし出されてしまい、乾かすと髪がパサパサになったり、柔軟性が失われて艶や感触が悪くなることから脱脂された感じがするようになります。
石けんはアルカリ性ですので、クエン酸などの酸性リンスを行い中和すれば膨潤していた髪の毛が収斂し、シャキッとしてサラッとした感じになりますが、指通りが悪く脱脂が感じられるような場合は、髪の毛にホホバオイルなどを数滴つけておくことが必要になります。
一般に使われているLES・Na(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩)、PS(モノラウリン酸ポリオキシエチレン)で洗い、整髪料などをつけない状態にして毛髪の皮脂の回復状態を測定した実験によると、シャンプーをして2日後には58〜65%まで回復していましたが、毛穴の周りの皮脂の状態は洗う前と同じになっていました。
「皮脂を取ると皮脂が多くなるか」ですが、もし本当に多くなるようであれば、皮脂の分泌が少なくて乾燥した頭皮の人はどんどん洗えば良いということになりますが、こんなことをしたらますます乾燥した頭皮になってしまいます。
皮脂の分泌量は体質が関係し、性ホルモンのアンドロゲンやビタミンの代謝異常、油っこい食事や甘い物、気温の上昇、睡眠不足などの影響によります。
石けんで洗って良くゆすがなかったり酸性リンスをしないような場合、雑菌や微生物が繁殖しやすくなり、カユミを引き起こしやすくなります。
(全理連名誉講師 板羽忠徳)

参考資料
●痒みとフケについて
ある調査によると、フケの中に含まれる微生物について調べたところ226種類も検出されたと言います。フケ症の人やカユミの多い人ほど微生物が頭皮に存在しているのです。
一般に頭皮を過度に刺激しないようにシャンプーをして清潔にすることによりフケや痒みの発生を少なくすることができますが、皮膚には表皮ブドウ球菌やニキビ桿菌、その他通過菌として黄色ブドウ球菌や連鎖状球菌、緑膿菌、大腸菌、真菌などがたくさんいて、ある時期に1、2種の菌が定着し、その菌が毒力が強い場合、一時的にヒフ感染症を起こすこともあります。
「痒みとフケがでる」という様な場合は殺菌剤のジンクピリチオン、オクトピロックス、硫黄などの含まれたシャンプー剤で洗えばかなり治まりますが、もし、それで治まらないような場合は、真菌対策として硝酸ミコナゾール(ミコナゾールナイトレート)やケトコナゾールが配合されているシャンプー剤で洗えば次第に治まってくることと思います。 それでもダメな場合は皮膚科を受診することをお勧めします。
フケの状態が悪化して細菌感染が起こりガンコな皮膚病変へと憎悪する「粃糠性湿疹」に発展することがありますので、軽度なフケの段階で早めに対処することが大切です。

●リンス・トリートメントは髪の毛だけに
頭皮が脂っぽく、髪の毛は乾燥している場合のシャンプー剤の選び方は、頭皮の状態に合わせた脂性頭皮用を選び、過剰な皮脂を除去するようにマッサージシャンプーをします。そのままでは髪の毛は乾燥してパサパサになってしまいますので、カチオン界面活性剤やシリコーン類、カチオン性高分子、セラミドなどが配合された リンス剤やトリートメント剤を髪の毛だけにつけて ダメージケアをしましょう。

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