第56回 うす毛や抜け毛は理容室で予防ができる時代です
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質問 私の髪はまだ薄くなってはいないのですが、父の髪は薄く、祖父がハゲているのをみると自分もそのようになるのかと心配です。どうしたらよいですか?ハゲって遺伝が強いのでしょうか。 (茨城県 K.T也 22歳)
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回答 昔に比較すると脱毛の医学は急速に進歩していますが、万人に効くハゲの特効薬や特効快復法というのはまだ無いというのが現状で、いったんハゲてしまうと、たしかに治りにくいのがハゲですが、ハゲという定義は非常にあいまいで、たとえば薄毛の人をハゲと呼ぶ人もいますし、太い髪の毛が無くならない限りハゲではないと主張する人もいます。(私は普通に頭の写真を撮ったら額のように毛が写らない状態をハゲと呼ぶことにしています。)
ハゲの種類もいろいろで、先天性のものと後天性のものに分けられ、先天性のものは毛を作っている毛乳頭が全く無いか、著しく障害を受けているもので、無毛症や乏毛症などがあり、現在の医学では治りにくい代表格です。
後天性のものはハゲだけが単独で起きる原発性と、他の病気などが原因となって起きる続発性のものに分けられ、男性の若ハゲ(男性型脱毛症AGA)は原発性のうちの一つの生理的脱毛症に分類されます。 続発性にはいろいろな皮膚疾患や、糖尿病、甲状腺機能異常症、膠原病、免疫異常など脱毛を起こすいろいろな病気があげられます。この場合のハゲは原因となった病気を治療すると治ることが多いです。 このようにハゲは、必ず治る、治る可能性がある、治らない、というように色々なタイプのものがありますが、男性型脱毛でハゲてしまった髪を「若い時のようにフサフサに」……言葉では簡単そうですが、男性ホルモンの他にいろいろな原因・誘因から起こってきますので、薬をつけたり、服用するなど単独の方法で無理に生やそうとすると副作用が起こってくる危険性もあります。
男性型脱毛は毛が無くなることではなく、軟毛化・細毛化が起こってくる現象です
から、休止期が終われば必ず毛は生えて来ます。ただ細いまま伸びなくなってしまうか、太く伸びる毛になるかが問題なのです。円形脱毛の場合は抜けると無毛になり暫く生えてきませんが、生えてくると一気に太くなってきます。 男性型脱毛の予防法としては、皮脂や抜け毛が多くなる、髪にハリやコシが無くなる、頭皮が硬くなったり褐色になるなどハゲになりやすい徴候が現れ始めたら、遺伝だからなどとあきらめないで、早期に改善し、常に髪の毛が良好に育つような環境や体調にしておくことが大切です。
育毛剤などをただつけるのではなく、内面からの食事や嗜好品、生活面や、精神面、健康面などを改善し、シャンプー、マッサージ、つぼ刺激などによるお手入れをすることで、頭皮を良好にし、異常な抜け毛を減らさなければなりません。
ハゲてからの治療よりも、気軽にチェックできる全理連ヘアカウンセラーのいる理容室で相談することがあなたの髪を護ります。 「予防に勝る治療なし」なのです。 (全理連名誉講師 板羽忠徳)
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参考資料 ●男性型脱毛症(AGA)について 男性型脱毛症は、Male-pattern baldness と呼ばれ、いわゆる若ハゲで、壮年性あるいは若年性脱毛症と言われていたものですが、最近はAGA(エージーエー)と言われるようになってきました。Androgenetic Alopeciaの略で遺伝的基盤のある人に男性ホルモンが毛包に作用することによって、毛周期が短縮し、毛が生え変わりながら次第に終毛が軟毛へと逆転換していくもので、成人男性によくみられる髪が薄くなる状態を言います。 思春期以降に次第に生え際のラインがM型やA型に後退(俗称、後退型)して薄くなっていくものと、頭頂部から薄く(俗称、攻め下ろし型)なっていくもので、どちらか一方から、または同時に薄くなっていくもので、遺伝や男性ホルモンの影響などが主な原因と考えられていましたが、男性ホルモンだけとか血行不良だけというような一つの因子だけではなく、男性ホルモン受容体や骨形成因子(BMP・毛を形成するケラチンタンパク質の生合成を促進)、神経や血管形成に関与する形態形成因子の1種(Ephrin)などがいろいろ作用していることが解り、複雑な細胞間の相互作用により脱毛が引き起こされていることが確認されるようになってきました。 最新の研究では、「遺伝の影響は全く無いとは言い切れないが、ハゲるかどうかを決定するのは生活習慣に大きく依存する」と考えられるようになってきました。 ハゲの遺伝は直接的な遺伝子としての遺伝よりも間接的な体質が大きく影響することから、
たとえ肉親にハゲている人がいても健康的でストレスのない生活を心がけ、頭皮を清潔にして育毛をすることによりハゲを回避・先送りすることは不可能ではないのです。 ただし、男性型脱毛症で20代の男性が薄毛になってしまったような場合は、80%以上が遺伝性であると考えられています。
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