第57回 ガンコなフケに十年以上も悩まされ続けています

質問
フケがひどく、皮膚科で脂漏性皮膚炎と言われ、塗り薬をもらいましたがニキビのようなものもできるようになってきました。あまり改善されません。何が原因でしょう。何とかなりませんか。
(岡山県  H.K介  55歳)

回答
フケは誰にでもある生理現象ですが、頭皮の新陳代謝が活発になったり、異常が起こると角化のスピードが早まって異常なフケが増加します。
これらの早まる要因として微生物や紫外線、シャンプー剤の刺激や回数不足、物理的、化学的な刺激やホルモンのアンバランス、刺激物や糖分、脂肪分、酒類などの摂り過ぎ、ビタミンB群の欠乏、ストレスなど色々な内因、外因があります が、漏性皮膚炎と言われたと言うことは、 男性ホルモンやビタミンの代謝異常なども関係し、皮脂の分泌状態が異常になったため で、頭、額の生え際などから始まり、細菌や真菌などの繁殖を受けてひどくなると境目のはっきりした斑になり、細かな皮のむけたもの(鱗屑)がたくさんついた湿疹病変がみられるようになり、さらに眉毛、耳の穴、鼻のわき、脇の下、胸の中央、へその周り、陰部などにも発生するようになってきます。
健康な皮膚の場合は皮脂膜(脂肪膜)が常在する細菌類の発育や増殖をおさえているのですが、汗や刺激物、過労、睡眠不足などにより働きが弱まってしまうと菌は活発に増殖を始めるようになってしまいます。
フケの中には226種もの微生物が検出されたという報告もありますが、フケ症の人ほど多くの微生物が頭皮に存在しています。
最も多いのは皮膚常在菌の表皮ブドウ球菌で、1平方センチあたり数百から数十万個、ニキビを起こすアクネ桿菌(座瘡桿菌)も数十から数百個も見つかっています。
特に頭や顔のように皮脂腺の多い部分では、好脂質性のイースト菌(酵母菌)の一種のピチロスポルム・オバーレやピチロスポルム・オルビクラーレなども繁殖しやすくなったり、通過菌の黄色ブドウ球菌や連鎖状球菌、緑膿菌、大腸菌や、白癬菌、マラセチア(癜風菌)、カンジダなどの真菌により感染が起こったり、これらの菌が定着して毒力が強いような場合には、一時的にヒフ感染症を起こすこともあります。
これらの刺激物により頭皮の新陳代謝が乱れたり、皮脂や汗が分解されて臭気が発せられるようになったり、皮膚に加えられたシャンプーや化粧品などの外来の刺激物が、簡単に皮膚にしみ込み、皮膚を刺激して湿疹をさらに悪化させてしまいます。
対策として 皮膚科での治療を続けることと、ステロイドによる異常が感じられる場合は医師に相談することが必要です。 油っこい物や甘い物を控えることや、低刺激のシャンプー剤を使用してソフトに洗い、すすぎを充分に行ってみて下さい。それでも症状が芳しくない場合は、殺菌力があるジンクピリチオン、オクトピロックス、ティートリー、硝酸ミコナゾール、ケトコナゾールなどの配合された薬用シャンプー剤をそれぞれ試し、かゆいときはこすらず、アイスノンなどで冷やすことをお勧めします。
(全理連名誉講師 板羽忠徳)

参考資料
●脂漏性皮膚炎対策
脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)が起こっている病変部の毛包や毛穴には、真菌の「マラセチア菌」が多いことと、抗真菌薬を塗布すると、症状が軽快することから、原因はマラセチア菌ではないかという説があります。
医療機関での処方は一般にステロイド(副腎皮質ホルモン)の軟膏やローション、スプレーなどが用いられ、化膿をともなっているような場合は抗生物質なども用いられていますが、最近はニゾラルローションなどの外用抗真菌薬が用いられています。
抗真菌薬を塗布すると症状はしばらく軽快しますが、3〜4ヶ月で再発したり、一時的に炎症が悪化する事がありますので、症状に応じて短期間外用のステロイド剤を塗布することが必要になる場合もあります。
フケが多い場合は尿素の含まれたローションが処方されたり、カユミが強い時には抗ヒスタミン剤の内服や、ビタミンB2、B6なども処方されます。
薬剤によって症状を抑えても、刺激の強いシャンプー剤を使ったり、カユイからとゴジゴシ洗っていたのでは良くなったり、悪くなったりを繰り返すことがあります。
皮膚炎の発生はシャンプー剤によるものが60%と、メディカルトリビューン誌は報じていることからも、シャンプー剤の選定と洗い方には特に気を使わなければなりません。
また、普段の食生活でもビタミンB群の多いレバー、ほうれん草、魚介類、豆、卵、牛乳などや、便秘も皮膚症状を悪化させますので、植物繊維の多いイモ類、キノコ、海藻類を多く摂るようにしましょう。
脂漏性皮膚炎と脱毛症は、共通の原因をもっていますので、放置していると、脂漏性脱毛や粃糠性脱毛などを引き起こしやすくなりますので早めの手当が必要です。

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