第59回 薬を使わないで自分の力で抜け毛対策をしたい。

質問
ここのところストレスと脱毛で精神状態が不安定で精神科で抗不安剤をもらっています。体調も思わしくありません。薬などを使わないで自分で抜け毛を減らしたり体調を良くすることはできませんか?
(東京都  H.T志  37歳)

回答
自分自身の生理機能を高めるための手軽な方法として「ツボ刺激」があります。
指圧やマッサージなどでツボそのものを刺激したり、シャンプー中にツボを刺激をすることにより体調を整えるとともに、頭皮の機能を高め、抜け毛を防ぎ髪の発育を図ることが期待できます。
ツボ(経穴)は特別な形で存在するものではなく、簡単に言うと体の表面のある部分と、体の内部がどのように関連し合っているかを経験的に突き止めたもので、鉄道の駅のように三百六十五個あり、そのツボをつなぐ線路のような経絡(けいらく)というものが通っているとされています。線路に中央線、東海道線というような名前があるように、経絡には肺経、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経、膀胱経、腎経、心包経、三焦経、胆経、肝経の十二の内蔵と繋がった正経十二経と、さらに八つの経絡が体を縦、横、斜めに流れる奇経八脈があり、中でも頭頂から陰部にかけて背中の中央を通る督脈と、お腹の中央を通る任脈は十二の循環系をたえず調整し、臟腑に過不足なくエネルギー(気血)を送り込む役割を果たしているとされています。
ツボを刺激する場合は、各駅停車が停まるような全てのツボを刺激する必要はなく、急行や特急が停まるような特に効き目を出しやすいツボを刺激しますが、ツボを軽く押してみて、痛ければ機能がたかぶっている状態ですので、その興奮を鎮めるために強めに押す(瀉法)方法を行い、逆に押しても痛みを感じず、かえって気持ちが良いというような場合は、機能がかなり鈍っていて衰えているため、弱っているところを補い、力をつけ元気をださせるために軽く押す(補法)方法を行います。
体の表面のある部分に刺激を与えると、内蔵の病気に効いたり、逆に内蔵に変化が起こると体のツボに変化が表れます。ツボの詳しい位置などについては専門書に譲りますが、特に髪や脱毛に有効なツボとして漢方の考え方は、「髪は腎が司る」とされ、足の裏の湧泉から内くるぶしを通って膝のすぐ下を通る 腎経のツボの水泉、大鐘、交信、築賓、陰谷の五つのツボ は体力を高め、髪の力を高めて発育や艶を良くしますので指で押したり、浴用ブラシなどで入浴時にツボをこすり上げることを習慣にしてみて下さい。他にも 頭頂部にある百会やその周辺の前頂、後頂、痛天、後頭部の天柱、風池 などを刺激し、脳下垂体の働きを活発にしてホルモンの分泌を良くし、乱れを抑え、頭皮や首の血行を良くするようにして下さい。また、腰の周辺の腎兪、三焦兪、志室、下志室などのツボへの刺激は体調を整え、スタミナがつくことから髪の発育にも有効です。最近目立って増えているストレスや自律神経が原因の円形脱毛症などに関しては、耳の周りや肩にある胆経のツボをブラッシングで刺激したり、肩こりを解消する肩井のツボへの刺激が効果的です。
(全理連名誉講師 板羽忠徳)

参考資料
●自分で行う主なツボ刺激と効果
自分の手や指で刺激するのが面倒だという人は、バンブーブラシを用いて叩いたり、押したり、ブラッシングで刺激を行います。
プラスチック製の物差しで百会周辺をパタパタ叩いたり、ボールペンなどのノックのバネを利用してツボを押したり、椅子の背にもたれて後ろに反り返り、腰の位置にある腎兪、志室などを刺激することもできます。
天柱:(膀胱経)親指を立てて両手を組み、首の後ろに当て、首筋を頭の上の方へなで上げてゆき、指が止まるところ。指を立てて頭の中心に向かって指圧しながら頭を前下げると効果的。頭痛、高血圧、自律神経緊張性、不眠、疲れ目、イライラにも。
風池:(胆経)天柱から指1本分よりやや少なめ外側。眼性疲労、頭痛、肩こり、頭ののぼせや顔のほてりに。
百会:(督脈)両耳穴を結ぶ線と眉間の間を上に辿った顔の中心線が交差するところ。利き手を下にして両手の中指を重ねてツボに当て、肘を横に開いて頭の中心に向かって指圧しながら頭を後ろにそらすと効果的。頭重、高血圧、痔、乗り物酔い、全ての病気に効く。
肩井:(胆経)首の根元から肩先までの間の真中で、肩に反対側の手を当てると中指の先が当たるところ。肩こり、耳鳴り、高血圧、ストレスの解消、気持ちのたかぶりに。
腎兪:(膀胱経)腎は東洋医学では、先天の元気と言い、生まれながら備わっている生命力の宿るところ。今日の副腎。過労、高血圧、精力減退、腰痛、足が冷える、生理不順に。
志室:(膀胱経)生まれながらに持った、その人の体力の強弱が分かるツボ。腎兪の外側。脊柱から9センチ離れたところ。髪は腎が支配し、下半身を冷やしたり、水分摂取が多い人、睡眠に問題がある人、アレルギーなどで腎が弱くなると腎虚となり、髪のトラブルに。

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