ミナト３７１０　髪様倶楽部

質問
９３ｋｇから肉や魚類を完全に断って２０ｋｇダイエットしました。最近髪に触っただけでもスゴク抜けます。痩せてもまだ脂肪肝と言われ、頭もベタつきます。AGAが進行しているのでしょうか？
（岡山県　　Ｓ．Ｋ男　　　１９歳）

回答
四ｶ月で二十kgも減量できたとはすごいですね。しかし、毛髪の主原料はたんぱく質ですので、急激で無理なダイエットをすると栄養不良を起こし抜け毛が増えてきます。
毛髪のたんぱく質は約二十種のアミノ酸から構成されており、毛髪を燃やすと硫黄のような臭いがしますが、これは硫黄を含むアミノ酸であるシスチンが含まれているからで、シスチンは体内ではメチオニンからも合成されています。
これらシスチンやメチオニンを含んでいるたんぱく質を食事から充分に摂取していないと、毛髪を作ることができなくなってしまいます。
肉類や魚類を完全に断ってダイエットしたということは、髪の主成分である含硫アミノ酸を含むたんぱく質の不足が起こり、細くて伸びの悪い毛になったり、抜けやすくなってしまったのです。
ダイエットが成功したら抜け毛が増えてきたというのも、現在の体調やお手入れがすぐに影響したのではなく、ヘアサイクルの関係で、抜け毛が多くなったその時期から２〜４カ月前に栄養不良が起こり、急速に退行期に入り、休止期になっていたものが抜けてきたからなのです。
脂肪肝は、過栄養による肥満やアルコールの飲み過ぎ、糖尿病などが原因するとされています。
血液検査により肝機能の目安となるＧＯＴとＧＰＴという肝臓の中にある酵素を調べてもらわなければなりません。脂肪肝の場合は、ＧＯＴとＧＰＴが軽度の異常であることが多く、ＧＰＴ値がＧＯＴ値よりやや高くなっています。
普通は原因が改善されれば数ヶ月で正常になってくるのですが、痩せたとは言えまだ脂肪肝ということと、抜け毛が多いということは、糖尿病をともなっているのかもしれませんので、引き続いて医師の検査・指示を受けることが大切です。
ダイエットをした後に「毛髪ミネラル分析」をやってみると、亜鉛やセレニウム、カルシウム、マグネシウムなど体に必要なミネラルの量が減っています。このような状態になると有害ミネラルの排泄ができなくなり、過剰になっていたり、それぞれのミネラルの対比率が崩れてしまい、抜け毛も含め体調に異常が生じやすくなってきます。
カルシウムや亜鉛などが不足するとますますストレスに弱くなり、いろいろな事が気になり、脱毛の悪循環にはまりこんでしまいやすくなります。ダイエットによるものは食生活が元に戻れば体調の回復とともに髪は回復する場合が多いです。
できれば分析を受けてみて、自分の体に過不足している食事を改め、カロリーを制限し、ビタミンやミネラルのバランスを図ることが大切です。
ＡＧＡは男性ホルモンが関係していますが、ダイエットが男性ホルモンを活発にさせるものではありませんのでＡＧＡを招いたというわけではありません。
（全理連名誉講師　板羽忠徳）

参考資料
●ＭＰＢの中にＡＧＡがある
　ＡＧＡというのは本来アレルギー性肉芽腫性血管炎（Allergic Granuromatosis-Angitis ）のことなのですが、某製薬会社が飲用育毛剤の販売にともなって言い始めたＡＧＡ（ AndroGenetic Alopecia ）は、かってはMale Pattern Baldness (ＭＰＢ)と言っていたもので、どちらも男性型脱毛症のことですが、ＡＧＡはAndrogen（アンドロゲン、男性ホルモン）とgenetic（発生［起源］の, 発生論上の）の合成語で「男性ホルモンを発生起源とする脱毛」であり、ＭＰＢは「男性のパターンはげ」で、男性に起こる「典型はげ」のことを言っていますので、ＡＧＡはＭＰＢの中に含まれる脱毛症であると言えます。この男性に起こる脱毛は男性ホルモンが主原因ですが、遺伝子や酵素の働きや血行不良なども含めていろいろな誘因が複合的に合わさって起こることから、ＡＧＡ対策だけでは効果があがる人もいますが、上がらない人もいるのです。

●たんぱく質とアミノ酸
　たんぱく質は生命を維持していく上では欠くことのできないものですが、実際に必要なのはたんぱく質を作っているアミノ酸です。
　一般に知られているアミノ酸は２３種ありますが、そのうち８種類(幼児子供は９種類）は必須アミノ酸と呼ばれ、人体内でつくりだすことができないため、食物やサプリメントで摂らなければなりません。
　たんぱく質を合成するためにはすべてのアミノ酸が適切な割合で存在していなければならず、たった一つの必須アミノ酸が一時的に欠けただけでも、他のすべての必須アミノ酸の働きがそれに応じて落ち込んでしまい、たんぱく質の合成に悪影響があらわれて来ます。
　体重、年齢、健康状態など様々な要素によりたんぱく質の一日の摂取勧告量には差があり、１９歳以上は体重１kgあたり０．８ｇで、体重６０kgなら４８ｇ必要ということになります。